今期方針2021年度

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令和3年1月15日

各 位
金物工法推進協議会
会長 前田嘉孝

あけましておめでとうございます
コロナ感染症に打ち勝って、2021年は希望に満ちた年になります様に!
昨年は、新型コロナウイルスの感染拡大が続き、経済状況も依然厳しい中、まず
はこれ以上の感染拡大を食い止めるべく、3密を避けて参ります。
政府は、我が国の新たな成長の源泉となるのは、「グリーン」と「デジタル」
によるイノベーションを目指す大胆な投資を率先して支援し、全ての政策資源
を集中し、あらゆる改革を断行する事で、経済社会を大きく変革し、次なる時代
をリードする為、コロナを機に地方への関心が一層高まる中、デジタル化を進
めつつ、地方への人の流れを生み出し、そして、農業改革や観光政策などを通じ
て、我が国の消費の多くを占める地方の経済を活性化させ、日本全体を元気に
すると管総理の年頭の挨拶でした。
金物工法推進協議会としては、昨年同様のご愛顧を賜ります様、木造軸組継
手金物工法住宅の発展の為、「(任意団体)木構造デザイン研究会」ユアー・ホー
ムを通じて、木構造アルコリズム「柱勝構造区画を最大4mx5mとして構造
プランを定め、複数の構造区画が交わる交点を構造軸柱として4分割法に従っ
て構造柱間の壁構面を配置する(定義)」のスケルトン・インフィル仕様を定め
て、「外周立上り基礎と、構造柱間の内壁構面の立上り基礎の延長を短くする事
による基礎工事原価を低減する」目的を達成する為に耐震シミュレーション「ウ
ォール・スタット」等、レジタル化の指導・教育を推進して参りますので、何卒
宜しくお願い申し上げます。
敬具

追伸 会員の皆様には、既に内装家具ソフトメーカーをご紹介致しております
が、内装下地材プレカット加工は、芯々座標軸プレカットソフトで設計する構
造軸組側に取付けられる羽柄材ですが、電気・ガス・水道などの設備機器工事が
絡むキッチンキャビネット・洗面・トイレ・収納建具・内装家具などは、壁面を
基準とする下地施工となりますので、内法・外法座標軸プレカットソフト設計
で壁下地を設計しなければなりません。
従って、芯々座標軸ソフトと内法・外法座標軸ソフトの連携する事によって
内装工事の工期短縮を実現する事が今年の課題です。
尚、昨年、話題になりましたウッド・ステーションの近況を下記ご報告申し上げ
ます。
大型パネル事業とは何か(1〜3)林業再生・山村振興への一言
2021年元旦 塩地博文
新年に当たり、大型パネル事業の2021年の計画を少しお話しさせていた
だきます。最大の難関の一つであった「施工図」のソフトウエアの開発が完了
し、飛躍を期す年を迎えています。その具体的な目標とは、「大型パネル技術の
地域移転」と「工業化の推進」です。
2018年に誕生したウッドステーションは、起業後すぐに大型パネルの地
域生産を担える企業を対象として、「大型パネル生産パートナー会」という任意
団体を設立し、その団体への参加募集を開始しました。2019年12月時点
で95社が集まっており、小職はその会長を引き受けています。現在、大型パネ
ルはウッドステーションの株主の1社であるテクノエフアンドシー(ミサワホ
ーム子会社)で、大型パネルの殆どの生産を行っています。テクノエフアンドシ
ーは、全国5工場でその生産をカバーしていますが、需要地がその5工場から
遠隔地にある場合は、輸送費が高くなります。また、テクノエフアンドシー工場
の製造能力を上回る受注状態にもなります。それで、目下、生産拠点の拡大が課
題になっています。すなわち、テクノエフアンドシー以外の、生産パートナー会
員の方々に生産してもらう必要性が生じています。
その状況に陥ることは、大型パネル事業としての成功を意味しています。起
業早々から生産パートナー会を設立し、その準備を整えていたことで、円滑な
生産拠点拡大が始まっています。新潟では地元の木材会社が大型パネル生産を
開始すると発表しました。この後に続いて、関東圏の数社から打診があり、生産
量、供給圏が広がっていきます。このタイミングに合わせるために、施工図のソ
フトウエア化を急いでいました。大型パネル製造に不慣れな企業にしてみると、
「情報化」は絶対条件になります。いわば、素人でも、情報化によりパネル生産
が可能になるのです。熟練工を必要とする現場生産との違いは、情報化により
誰でも生産可能になる点にあります。
地域への技術移転は、情報化の賜物です。誰でも生産が可能になれば、輸送費
もすぐに減少していきます。これは大型パネル普及に弾みがつくだけでなく、
地域大型パネル工場は、地域木材との親和性を、ますます向上させていきます。
地元資本による地域大型パネル工場は、地域内経済循環を支えていくエンジン
になると思われます。
次は、工業化の更なる推進です。情報化の成功の波に乗り、大型パネルの生産
方式を一気に革新していきます。CADCAM化(注1)により人力作業を機械
生産へ、ついにはロボット生産の検討が始まります。大工による過酷な現場生
産も、工場内部における負担の高い取付作業も、消滅していきます。情報化を経
る事で、ジャストサイズが割り出されて、無駄の多かった木材加工が、その歩留
まり(注2)を高める効率的な加工へシフトが進みます。
2021年は、大型パネル事業の飛躍の年とし、その飛躍を現場で疲弊して
いる大工の解放や、低い歩留まり率に悩まされている国産材の価値向上に繋げ
て行きたいと思っています。
(注1) CADCAM:設計のCADデータから、工場で自動加工を行うため
のCAMデータを自動生成して、これにより自動機を動かして自動生産するこ
と。
(注2)歩留まり:生産全般において、「原料(素材)の投入量から期待される
生産量に対して、実際に得られた製品生産数(量)の比率」のこと。
[大型パネル事業とは何か その1] 文責 塩地 博文
小職は、ウッドステーションという会社を2年前に設立しました。その起業動
機は、木造建築の近代化であり、もっとわかりやすく言えば、今、大工は、建設
現場で低待遇に悩まされ、重量化した建材の取り扱いで、著しく苦労していま
す。これにより、大工は急速に減少しています。この大工に関する改革が、今、
火急の課題だと思ったからです。また、この改革は、裏山で十分に成長している
国産材資源の合理化にも必ず繋がると、確信したからです。
30年以上続いた平成の時代は、木造業界においては、「プレカット(注8)」の
時代でした。平成初期にはわずか数パーセントに過ぎなかったプレカット率(注
8)は、平成の末期には90パーセントを超えるレベルにまで、進みました。プ
レカット加工機(注33)による仕口(注24)加工が一般化して行ったのです。
プレカット率(注8)の急成長は、一方では、大工賃金の低下、国産材原木価格
の低下も招きました。プレカットが、大工と国産材原木の価値を減少させたの
です。
現場と資源が価値を棄損する状況は、誰にとっても好ましいものではありませ
ん。いわば、中間体が隆盛し、資源と現場が疲弊すれば、木造業界の持続性は保
たれないからです。また、世界的に加速しているウッドファーストの潮流は、日
本にも押し寄せ、高層ビルの木造化を進めようと技術革新が進められています。
木材が建築の主役に立とうとしている中で、持続性の根幹である現場と資源は、
疲弊が継続しています。この状況は、なんとしても打破しなければなりません。
この謎を解くには、まず「プレカット(注8)」について詳細を知る必要があり
ます。日本の木造建築の中心的な建築方法は架構式で、軸組工法(注13)で
す。これは柱と梁(注6)をつなぎ合わせて、構造を成立させています。この柱
と梁(注6)をつなぎ合わせる接合部分、これを仕口(注23)と言いますが、
プレカット(注8)は、この仕口部分の機械加工です。大工により伝承されてき
た仕口加工をデータ化し、CADCAM(注26)によって、接合部分が自動で
機械加工されています。加工機械を動かすために、プレカットのCAD(注2
5)データを使います。このCAD(注25)のデータからCAM情報(注27)
を作るソフトウエアがあり、意匠図面(注12)に基づいて、プレカットCAD
(注25)に入力すると、後は自動で接合部の加工が行われています。
プレカットCADを操作するためには、熟練したCADマン(注28)と言われ
る専門家が必要で、意匠図(注12)で見落とされた部分の接合性を、一つ一つ
チェックしながら、入力していきます。CADマン(注28)は、プレカットに
おける肝であり統括者です。CADマンの能力次第で、加工ミスが多発してし
まいます。急速なプレカット率の成長で、CADマンは常に不足しがちで、今で
は海外にCADセンターを置いて、入力業務の効率化やコストダウンを図って
いますが、熟練者不足が問題視されています。
不足するCADマン(注28)が起因して、羽柄材(注9)と言われる非構造材
(注29)のプレカット入力までは、手が回らない状況が続いています。プレカ
ット工場を経由して現場に届けられる材料の内、柱や梁(注6)を除いた部分に
ついては、プレカット加工できない状況があるのです。そのため、業界内には
「フルプレカット(注30)」という言葉もあり、羽柄材までもプレカット加工
するものは、特別にフルプレカット(注30)と呼んでいます。すなわち、現実
の加工の多くは、柱や梁に留まっているのです。
[大型パネル事業とは何か(その2)] 文責 塩地 博文
しかし、「フルプレカット(注30)」という言葉が示しているのも、柱や梁(注
6)の仕口(注28)の加工がプレカット(注8)の主役であり、その他は付属
というのが現状です。羽柄材の多くは現場で大工により、手加工(注34)で切
断加工されて、建築の一部になっていきます。
ところが、実は、羽柄材(注9)の多くには国産材(注21)が使われており、
国産材利用率(注32)の向上に、大いに寄与しているのです。しかし、柱や梁
はプレカット加工機(注33)を通過する際に、データとして捕捉されますが、
残念ながら羽柄材は補足されません。そのため羽柄材は、大工による手加工(注
34)に留まり、アナログの状況が続いています。これがプレカット(注8)の
現実です。
柱・梁(注6)という主要構造材料(注7)は単価も高く、またプレカット(注
8)を通じてデータ化が進んでおり、サプライチェーン(注22)を構築する
と、高い効果が実現できます。でも、その分野では、欧州材、米松という海外材
(注20)が主役を占めており、デファクト化(注35)が進んでいます。平成
のプレカット成長時代は、海外材がデファクト(注35)を握り、主役になって
いった時代なのです。
また、プレカット(注8)、フルプレカット(注30)に関わらず、窓、断熱材
(注17)、防水紙(注31)などの木材以外の建築材料は、データ入力の対象
外です。従って、木材プレカットを行っても、これらの建築材料とは連動しませ
ん。すなわち、プレカット(注8)は柱・梁(注6)の仕口(注23)加工に過
ぎず、建築を構成する窓、断熱材(注17)などの建材とは連動していないので
す。従って、プレカット率(注8)が向上しても、大工にはその効果は反映され
ません。
プレカットデータだけでは、木造建築のサプライチェーン(注22)は実現でき
ません。そればかりではなく、これは、柱・梁(注6)を海外材料(注20)に
主役の座を与え、国内の大工の作業領域を効率化させていないのです。平成の
プレカット成長時代に、「大工の賃金の値下がり」や「国産材の原木価格の低迷」
が起きたのは、プレカットによるサプライチェーン効果が、海外材(注20)に
集中していたのが、大きな要因です。
プレカットという工業化は、海外材(注20)を成長させて、国産材(注21)
と大工を疲弊させていたのです。すなわち、木造建築のサプライチェーン(注2
2)を実現するには、プレカットだけでは不十分なのです。ここで、大型パネル
の出番になります。
プレカットと大型パネルの最大の違いを、直視してみますと、それは立ち位置
の違いだと言うことがわかります。プレカットは材料側、それも柱・梁、その仕
口(注23)加工に限定された工業化なのです。大型パネルは、材料側では無
く、建築側に立っています。建築側の視座(注24)で、成立しているのが大型
パネルです。木造建築を起点とするサプライチェーンを構築しない限り、国産
材(注21)と大工の疲弊は止まらないと、私は考えています。
[大型パネル事業とは何か(その3)] 文責 塩地 博文
プレカット(注8)のレベルで留まっている限り、建築まで届くサプライチェー
ン(注22)は成立しません。そのことは、「大工」と「国産材(注21)」とい
う「現場と資源価値」を、棄損し続けるのです。この背景を、皆様には充分ご理
解頂けたと思います。プレカット(注8)では具体的に何が不足しているのか、
建築側の視座(注24)とは具体的に何を指すのかを、明らかにしていきたいと
思います。
ビルのような高度な建築を行う場合、ゼネコン(注2)を頂点として、サブコン
(注3)と言われる部分施工に責任を果たす専門業者が、分業体系を構築して
います。サブコン(注3)とは、各種工事の専門家であり、自分の施工部分につ
いては、「施工図(注4)」という施工者側の視線にたった、図面を作図して、そ
れをゼネコンから承認してもらい、施工図に従って、工事を完遂します。
木造建築では、この「施工図(注4)」が作成されていない場合が殆どです。施
工図は、大工の脳の中で作図され、エビデンス(注5)としては表に出ていませ
ん。大工は、各所の納まりを、自らの経験を元に頭の中で作図しています。柱と
梁(注6)という構造材(注7)は、プレカット(注8)を通じることで、デー
タ化され標準化されていますが、羽柄材(注9)が中心となる壁の内部、屋根、
軒などは、大工が現場で、自らの脳内の作図に従って施工(注4)をしていま
す。従って、その材料の手配は、事前に準備できず、その場で「足りない」「余
っている」が発生してしまうのです。
足りない、余っているが日常的に発生すると、歩留まり(注10)に関する意識
が低下します。日常会話の中で、「多めに入れときましたから」と大工にプレカ
ット業者が伝える場面によく出くわしますが、足りないために、トラックをも
う一度走らせるより、余る方が良いと言う商習慣が、出来上がっています。
施工図(注4)を作成し、そのジャストのサイズをジャストイン(注11)で供
給すれば、このような乱暴な材料棄損は改善します。でも施工図(注4)が無い
ために、工場での事前生産が出来ず、材料を現場で加工し、大工は取付に専念で
きずに、作業速度が上がりません。加えて、一つ一つの納まりを現場で考えるた
め思考時間がかかり、作業速度を落としています。脳内と言えども、作図したに
も関わらず、その作図費用はエビデンス(注5)が無いために、作業対象から外
されて、対価を得ることは出来ません。
この施工図(注4)の不在は、更に深刻な問題も発生させています。施工図は施
工者側の目線での図面ですが、意匠図(注12)と軸組図(注13)で、生産さ
れている木造建築は、その使用される材料の重量を表示する習慣がありません。
材料のスペック(注14)などは表示されていますが、重量・荷姿が示されてい
ないため、大工は、ヒューマンスケール(注15)を超えた重たい建材を扱う事
を強要されています。その好例がサッシ(注16)です。省エネの方針から、建
築物には高断熱(注17)、高気密化(注18)の流れが加速しています。ガラ
スが二重、三重になったサッシ(注16)が主流になっていて、その重量は10
0キログラムをオーバーするケースも多いのです。取り扱いに時間を要し、施
工精度が上がりません。さらに大工の肉体的な毀損を招きます。これは施工者
側の目線によるガイドラインも対応策も未整備だからです。
大型パネル(注1)では、この施工図(注4)を短時間で正確に作成するソフト
ウエア(WSpanel、注19)の、自社開発に成功しました。そのため、こ
のソフトウエアで、自在にパネル化が出来るようになりました。輸送効率、施工
効率も事前に設計できるようになりました。(参考資料2〜5)」
『2』フォレストサポーターズ
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